韓国人の偽ブランド品に対する無神経さ (朝鮮日報)


http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/02/19/20060219000002.html

 2年前、中国の上海を訪問した際、観光案内員が興味深い場所を見せてあげると話した。案内員と一緒に足を運んだ場所は、「偽物有名ブランドの天国」と呼ばれる襄陽市場だった。束単位で販売する「モンブラン」ボールペンから「ルイヴィトン」ハンドバッグまで偽物が溢れていた。やがて案内員は「もっとよいものは他のところにある」とし、さらに奥まったところに連れて行った。

 一般の住宅に見える場所で、より丁寧に作りこまれた偽物が展示されていた。そのとき、ロシアの観光客が入った。ロシア人たちが商品の質を見ながら気が乗らないような表情をすると、店主は倉庫から慎重に商品をもってきて片言の英語で話した。

 「これは韓国で作ったものです。断然よくできています」

 ウォール・ストリート・ジャーナルは2004年を基準に、全世界の偽物市場の規模は5400億ドル(およそ524兆ウォン)に達すると報じた。韓国にとっては胸がドキッとする数字だ。韓国は昨年駐韓ヨーロッパ商工会議所(EUCCK)によってOECD加盟国で最大の偽物製造国と指摘された。

 町の偽物製造業者だけでなく、有名な国内ブランドのなかでも一部が、海外の有名ブランド物をそのまま模倣しているのは公然の秘密だ。2年前に韓国を訪問したルイヴィトンのベルナール・アルノー会長は、ある有名デパートの売り場を視察している途中、びっくりしたという。デパートの関係者は、「国内某社のハンドバッグが、ルイヴィトン製品とまったく同じ形をしたため」とし、「アルノー会長が『販売されてまもない新製品なのに、他のブランドが販売しているとはどういうことか』とし、そのハンドバッグを買って帰った」と述べた。

 こうした状況なので、有名ブランドは各国政府に対して厳しい偽物取締策を求めている。各国政府も積極的に乗り出してきている。関税庁の関係者は「米国は知的財産権法調停官というポストを設置し、アジアの偽物市場との本格的な闘いに乗り出した」とし、「中国までも『偽物市場』と呼ばれる襄陽市場の撤去に乗り出すほど、厳しい措置を取っている」と明らかにした。

 関税庁は今月1日、ソウル税関に「偽物特別取締本部」を発足した。しかし、もっと大きな問題点は私たち自身にある。「本の泥棒は泥棒ではない」ということわざから分かるように、われわれにとって知的所有権に対する無頓着さは根強いものだ。

 多くの人が、本物とまったく区別のつかない偽物の腕時計をはめて誇らしげに腕を見せつけたり、他人のそのような行動を見た覚えがあるだろう。本当の取締の対象はわれわれのなかの「偽物に対する無神経さ」だ

ソン・ジョンミ産業部流通チーム長

朝鮮日報