「能舞エヴァンゲリオン」…アニメ、古典に新境地

http://www.asahi.com/culture/stage/koten/TKY200611250232.html

2006年11月25日

 名作アニメ「機動戦士ガンダム」が講談に、「新世紀エヴァンゲリオン」が能になった。ガンダムなどモビルスーツ同士の戦闘が合戦の修羅場読みになり、クローン兵器であるエヴァに取り込まれた母の魂が鬼女の嘆きを発し、と意外な“シンクロ”を見せる。新旧の表現の融合から、ニュータイプの日本文化が生まれるのか?
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「能舞エヴァンゲリオン」から、初号機を模した面をつけ舞う山井綱雄=埼玉県越谷市

エヴァンゲリオン×能

 「ここやかしこに走りめぐり、火花を散らして戦いしが――」

 金春流の若手能楽師山井綱雄が、暴走するエヴァ初号機となって舞う。綱雄のシテ、井上貴覚と中村昌弘の地謡、山口喬司の企画・原案による「能舞エヴァンゲリオン」が17日、埼玉県越谷市こしがや能楽堂で試演された。

 「エヴァ」の製作会社ガイナックスがホームページで1月から始めた企画「EVA AT WORK」の一つ。日本画やタトゥーなど様々な分野のアーティストに、「エヴァ」を題材とした作品を委嘱してきた。

 「アニメで印象的だったのは、パイロットである息子シンジを思う初号機の激しい母性愛。これをテーマに、若い人に能のすばらしさが伝わる作品になれば、と思った」と綱雄。

 既存の5曲を用い、「清経」でシンジの苦しみを、「生田敦盛」で修羅の戦いを、「恋重荷」で我が子を見守る母の心を表現した。

 一般上演はしないが、12月23日からガイナックスのHP(http://www.gainax.co.jp/eaw/)で動画を公開する。