たけくまメモ : クリプトン伊藤社長の「態度」

http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_e91a.html

たとえば俺は、これまで25冊くらいの編・著作を出していますけど、出版契約書を「出版前に」交わしたことなんか一度もありません。小学館のような大手でもそうです。ちょっとおかしいよな、とは俺も昔から思っていますが、業界全体がそうなんだから仕方がない。幸いにして、俺の場合は印税を踏み倒されたことは一度もありませんが。
(略)
たぶんドワンゴ(エイベックス)としては、特に悪気はなかったのだろうと思います。エイベックスが普段音楽出版業務でやっていることと、まったく同じ感覚で「口約束で契約を交わし」、「著作者の意志を確かめずにJASRACに信託委任してしまった」のではないか。俺はそう思えてならないんですよ。これは異なる商習慣を持つ業界同士による、一種の文化摩擦なのではないかと。しかしドワンゴの見解は、音楽界や出版界では通用するかもしれないが、一般社会では極めて分が悪いと思われるので、今後の動向に注目していきたいと思います。


別にドワンゴの肩を持つわけじゃないけど、たしかに彼らはそこまでの「悪気」を持っていたわけじゃないような気がする。彼らの感覚としては、業界の「当たり前」のいい加減な「慣習」どおりにコト進めてたら空気読めないクリプトンとやらデシャバってきてしかもチンタラやってやがる。さっさと進めねぇと乗り遅れるだろうが、ってんで wav 作者からひっぱってきてまずは配信してしまえ。登録っつうったらJASRACに決まってんだろが、この素人が、と。

たけくまメモ : 出版界はヘンな業界

http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2005/03/post_1.html

現状の出版界が、ほとんど口約束、いや口約束以前のテレパシーのようなものに立脚した、すこぶる超現実的なシステムで運営されていることです。
(略)
編集とは、一般社会と魑魅魍魎の世界(作家とかライターとか)をつなぐ恐山のイタコみたいな存在であるといえるでしょう。一方では社会常識の欠落した魑魅魍魎とつきあいながら、なんとか原稿をもらいうけ、一方では営業や印刷所や取次のような「一般ビジネスの論理」で動く人たちとつきあわねばなりません。
(略)
前回のエントリに即していえば、ギャラの話をしないならしないでもいいから、その代わり俺と一緒に地獄に堕ちろということですね。地獄に堕ちる覚悟もないのに、中途半端な態度をとられるくらいなら、まだビジネスライクに徹してくださったほうがマシかもしれませんよと。