裏コード

G7 の裏コードは Db7 だという。ドミナントは裏コードで代理できるという。裏コードとは五度圏で反対にあるコードだという。Gの完全5度上を6回とると Db7になるという。

なんとなく分かるが、なんとなく分からないので順に考える。

まず、オクターブは12音階から成る。半音で12個分、全音で6個分。
ルートCから全音3つ分上の音程が三全音=増四=トライトーン。F#。
そこからまた全音3つ分上をとると、ルートに戻ってくる。オクターブは全音6つなんだから当たり前だが。C=>F# は三全音であり、F#=>C もまた三全音。ぐるっと一周回ってくる。転回しても同じ。どの音をルートにしても同じこと。たとえばB=>F=>B。

この音程は、非常に不安定な音階で、トニックに解決しようという力が働く。具体的にはスケール上で半音にて接する音に向かう。上記BF だと、B=>C, F=>E。BFの和音の場合は CEに縮小、FBの場合はECに拡大。

ドミナントの主な役割はトニックへの解決であり、その役割はこのトライトーンが担っている。逆に言うと、トライトーンを保持するコードであれば、ドミナントの役割を保持することができる。ダイアトニックスケール上では G7 と Bm7-5 である。

ノンダイアトニックではどうか。まずG7を元に考える。G7:GBDF。ここでは3度と7度がB-Fのトライトーンである。上述のとおりトライトーンは展開しても同じなので、3,7度がF-Bとなる和音で代理できることが分かる。xFyB。このx, y は何か?

セブンスコードの構成は、ルートから長3度、短3度、短3度である。これを当てはめれば、x=F-長3度=Db、y=F+短3度=Abが得られる。よって当該和音は DbFAbB、つまりDb7 となる。

また、F-B の構成音を B-F で置き換えることは元のコードを増4度上に平行移動させることと同義である、ということから導くこともできる。つまりG7=GBDF +増4= DbAbB = Db7となる。

もちろん逆にいえば、Db7 の裏コードは G7 であり、F# への解決として用いることができる。B-Fは C-E だけじゃなく、A#-F#にも解決できるのだ。お気づきのとおり、F#は裏コードのダイアトニックCの増4上である。

このように、増4を2回取ると(1オクターブ上の)同音に戻る性質より、同一のトライトーンを保持する増4上に位置するノンダイアトニック上のコードをドミナントとして代理することが可能になる。これを裏コードという。