雪の華ジャズアレンジコード進行

もともとジャズっぽい曲調だが、手元にジャズアレンジのものがあるので、ちょっと見てみる。orig BdurだがCdur に移調:

前奏

特にアレンジせず単純な形に落とすと:

Am, C/G, F, Em | Dm, Em, F, G7

短調系の下降音形。これに7thを加えて、

Am, Am/G, FM7, Em7 | Dm7, Em7, FM7, G7

7th での D,E,F,G の上昇はジャズっぽい。

Aメロ

これも単純化すると、

C, G/B, Am, C/G, | F, Em, Dm, G7

同じく典型的な下降音形だが、手を加えて、

C, G/B, F/A, C/G-G#dim | Am7, Em7-A7, Dm7, Ab7-G7

C/G-G#dim=>Am7。

C/G => F という動きを、Fの代わりに代理の Am7 を用いかつ間に G#dim を挟むことによりベースを G=>G#=>Aと半音の動きにし滑らかにする。また、

C/G: [G]CE
G#dim: [G#]CE
Am(7): [A]CE(G)

と、上の長三和音(CE)は保持したままベースのみが半音上昇する。

Em7-A7 => Dm7

また、Em => Dm の間に A7というセカンダリダブルドミナント(Dm キー上でのドミナント;借用和音)を挟むことにより、A7=>Dm の結合を強くしている。

Ab7 => G7

これも同じく借用和音であるが、

  1. Gの前に セカンダリドミナント Dを挿入
  2. Dの裏コードである Ab に変換

という二つの手順を踏んでいる。

Aメロ(2回目)

C, Bm7-5 -E7, Am, Gm7-F#7 | FM7, Em7-A7, Dm7-Dm7/G | C, Dm7-C/E

Bm7-5-E7 => Am

G/B の代わりに Bm7-5を用いているが、これは G9(omitG)と同じこと。つまり

G9: (G)BDFAm
Bm7-5: BDFAm

これに Am につなげるためセカンダリドミナントセブンス E7 を加えている。

Gm-F#7 => FM7

基本は G=>F。ベースが G=>F#=>F、、、と動く、、という以外はよく分からん。

Em7-A7=>Dm7

これもダブルドミナント

C, Dm7-C/E

ベースC,D,E と動き、次のFにつながる

Bメロ1

FM7, E7, Am7, - | Dm7, E7, Am7, -

サブドミナント(F)からトニック(Am)の解決の間にセカンダリドミナント(E7)を挟む。

Bメロ2

F#m7-5, B7, Em7, Eb7 | Dm7-C/E, F, B7-F7, E7

前半は、、、ちょっとよく分からん、、が、Emキー上での Dm-B-Emということか?
B7-Em はセカンダリドミナントだけど、F#7-5 の位置づけが、、、

サビ

Am, Am/G, FM7, G/F | Em7-G#dim, Am7, Dm7, C/E | F, Bm7-5 -E7
Am, Am/G, FM7, G/F | Em7-E, Am7-C#dim, Dm7, G7
...C-Dm7, C/E, Eb7 | Dm-Ab7, Dm7/G

前奏と同様の進行。E=>Am のセカンダリドミナントをところどころ挿入。
G#dim も E7 も似たようなもん:

G#dim: G#BD
E7: EG#BD

マイナー7thは、ベースを除いたその上は、すべて短三和音の積み重ね、すなわちdimと同じことになる。

コード進行

前奏:Am, Am/G, FM7, Em7 | Dm7, Em7, FM7, G7
Aメロ1:C, G/B, F/A, C/G-G#dim | Am7, Em7-A7, Dm7, Ab7-G7
Aメロ2:C, Bm7-5 -E7, Am, Gm7-F#7 | FM7, Em7-A7, Dm7-Dm7/G | C, Dm7-C/E
Bメロ1:FM7, E7, Am7, - | Dm7, E7, Am7, -
Bメロ2:F#m7-5, B7, Em7, Eb7 | Dm7-C/E, F, B7-F7, E7
サビ1:Am, Am/G, FM7, G/F | Em7-G#dim, Am7, Dm7, C/E | F, Bm7-5 -E7
サビ2:Am, Am/G, FM7, G/F | Em7-E, Am7-C#dim, Dm7, G7
コーダ:C-Dm7, C/E, Eb7 | Dm-Ab7, Dm7/G

まとめ - セコンダリ・ドミナント、裏コード、パッション・ディミニッシュ

ジャズとかブルースではこういうのは「基本」なんだろうけど、クラシックしかやってこなかった人間はこういうのには疎い。

多分「オサレ」「キモチイイ」と聞こえるのは、半音の動きと減五なんじゃないかと。

ドミナントからトニックへの解決も、シ=>ド、ファ=>ミ、という半音の動き、つまりシファの減5(3全音、増4、トライトーン)からドミの長三和音に解決されると「キモチイイ」。

主キー上の G7 => C や E7 => Am だけではなく、Dm への解決としてその前に A7 を置く(セカンダリドミナント:Dm上のドミナント、Am キーにあてはめるとE7)とより一層解決感が得られる。

また、経過和音として用いられる dim。二度進行の間に用いると滑らかになる。
よくあるのは、C-Dm7(Fの代理)-G7のC-Dm7感に C#dim を挟む、というの。
理論的にはC-9(root omit) の展開が C#dim と解釈できる(Cのマイナー9度はC#)ので、Cからテンションコードを挟んでDm7に進行、という言い方もできる。

この曲だと、小節をまたぐ C/G => F の間、Gm7 => FM7などに使われているように、小節の変わり目で一旦不安定にして次の小節の頭で解決、とするのは有効。

また G#dimはマイナーキー上のドミナントの代理コードでうんたら、とからしいし、うーん、奥が深い。。。。

使えそうな部分

  • Cから下降してきて4拍目の Gあるいは C/G から次の Am(F代理)への間に G#dim を挟む
  • EmからDmへ落ちるときに A7 のセカンダリドミナントを挟む
  • Aメロ G7=>C に落ち着いてからBメロのFに移るときに Dm7-C/E とベースの上昇
  • Bメロ3、4拍目のAmの前に E7 のセカンダリドミナント。というかここでは Am キーか
  • Bメロからサビ(Amキー)へつなげるのに、DEFF#G#=>Aと音を動かす、つまりDm-Em-F-B7-E7
  • バラード的に、Aメロは長調系で始め、Bメロは長調系のサブドミナントからE7-Am とマイナー系を感じさせ、サビへ半音進行で盛り上げ E7 からサビのAmへもっていく、という構成